2010年3月28日(日) 続発する不祥事について


23日付で南港市場職員が大阪府警に覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕されました。09年度で何と5人の職員が覚せい剤取締法違反で逮捕されています。

言語道断…という言葉をここまで頻繁に使うとは思いませんでしたし、その言葉しか思い浮かばない状況であることは確かです。市役所としてこうした違法行為が後を絶たない現実を前に、何が一番有効な手段なのか、考えられるありとあらゆる対策を講じないと、本当に市民の信頼を取り戻すことは不可能だと感じています。

そうしたこともあって、停職期間の最高が3カ月だったものを1年まで伸ばしました。それと同時に、全く無給の期間がそれだけ長くなると、あきらめて自己都合退職を選ぶ不良職員もいるかもしれません。市民感覚からいえば、悪いことをして休職処分を受けても、懲戒免職にならないと退職金が支給されますから、その退職金の減額基準も厳しくして、公務員だからクビにはならないと高をくくっている悪質な職員に対し歯止めとしようと改定しました。

さらにはこうした職員に断固立ち向かうと同時に、現状把握をきちんとするためのプロジェクトチーム(以下PT)を立ち上げて、全庁的にチェックをやろうという体制をとりました。

当たり前のことですが市役所というところは、貴重な税金を市民のためにどうきちんと使うかということに全精力を注ぐのが本来の仕事であると思っています。市長になってすぐの不適正資金の問題や、続発する不祥事、そして負の遺産といわれるバブルの後遺症の後片付け、財政状況の悪化に加え、20人に1人という生活保護の実体と貧困ビジネス。数え上げればあきれるほどの負の側面ばかりです。

市長として市民に申し訳ないと思うと同時に悲しくもあり、また恥ずかしくもあります。

しかし、ここで強調したいのは、そんな中でも素晴らしい仕事を続けてくれている職員の数の方が圧倒的に多いということです。大阪市は「職員厚遇問題」であらゆる面からバッシングを受け、また、同和問題に絡む様々な不明朗なお金の流れなど、「どうしようもない見本」のように言われてきましたし、今もそういう目で見ている人は多いことでしょう。

そんな大阪市ですが、報じられている恥ずかしい事案とは全く別次元の「やりがい」に燃えている職員も数多くいるという事実をお知らせしたいのです。勿論、いいことをして当たり前の職員ですから、それが表に出る機会は不祥事とは比べ物になりません。

巨大な組織で、関西の母都市としての歴史やその責任感から、日本の福祉行政の先頭を切ってきたという自負があり、特に自治会単位での地域活動を積極的に推し進めてきた長い歴史がある街です。単純化していうと、巨大であるがゆえに責任を分担するために当然のように縦割りが進み、進みすぎたがゆえに組織防衛のみに走ってしまうという矛盾に満ちた過去があります。

PTという全庁的な組織は、今まで「よその局のことだから」という無関心で済ませていたものを、「大阪市役所」という同じ単位でまずものを考えるという、普通の感覚では当たり前のことに次元を移すことで、様々な障害を乗り越えることができるという「気付き」を生みつつあります。

西成区の萩之茶屋小学校そばの30数年放置されていた屋台の問題。街頭犯罪ワースト1の返上への確実な動き。放置自転車対策での地域との連携を含む取り組みの成果。ゴミ減量作戦への取り組みなど、少しずつではありますが大阪市民から評価を受けることをやらせてもらっている実感があります。

こうしたことを積み重ねながら、そして不祥事を起こした職員を徹底的に処分すると同時に、組織としてそうした不祥事を起こさせない職員教育もきちんと取り組んでいくことで、大阪市はきっとよみがえることができると思いますし、そのためにできることを貪欲に取り入れたいと思っています。そうしたことが「都市格」を上げることに他ならないからです。

市民協働という言葉は大阪という土地柄が持っていた、「おかみになんかまかせれられへん」という自主、進取の気風を今一度大阪の都市格として確立するための一歩であり、勿論、そこにはありとあらゆる市民と、その市民のために動く市役所の姿があることを信じています。

続発する不祥事、更には責任ある職場での大きなミス、まだまだ根絶するには時間がかかると思いますが、昔のように隠ぺいするのではなく、批判を浴びるであろう情報こそ「きちんと整理して」市民の皆様にお知らせし、職員の気付きへとつなげていきたいと思います。