大阪民主新報2月14日分「公教育が目指すべきもの」

大阪民主新報2月14日分「公教育が目指すべきもの」 隔週連載の3回目です。










「公教育が目指すべきもの」

2008年橋下知事誕生以降、教育を巡る様々な話題が発信されました。国歌斉唱口パク教師チェック、公募校長の相次ぐ不祥事、桜ノ宮高校の体罰自殺を巡る入試中止発言、その流れは「教育行政基本条例」として議会を通り教育施策が進められています。

教育といえば、「ナカノシマ大学」のキックオフイベントで鷲田清一、内田樹、釈徹宗各氏と中央公会堂でシンポジウムを開催、140B社から「おせっかい教育論」として出版したのが2010年10月。大阪という「街場」と「大阪人」が織りなす様々な機微を各氏が披露。後日、語りつくせぬ思いを改めて話し合って一冊の本になったものです。市長をしていた私にとって「公教育」の目指すべき方向性を示してくれたと感じていました。

それがきっかけとなって神戸女学院大学の内田樹教授(当時)に大阪市の特別顧問をお願いしたくだりは本の巻末に書いています。内田先生は就任記者会見で「学校教育に政治と市場原理が介入すべきではない」といわれたのを記憶しています。

教育が目指すべきものは善良な市民を連綿と生み出していくためのものである。確か内田先生が言われたと思いますが、多様性を認め合いながらお互いを思いやる気持ちを長い月日をかけて涵養していくことが目指すべき姿。このスタンスが大好きです。

2014年の9月には同じメンバーで「街場の学びが目指すもの」(インターネットのユーチューブに動画有)というシンポジウムを開催し、大阪市教育委員長をされていた長谷川惠一さんにも生々しい話を聞けました。

色々な立場の方の「総意」を求めるのはとても難しいことだと思います。この間大阪では行政トップの派手な言動や、働く人たちに対する恫喝ともとれる強制力の行使、学力テスト問題など枚挙にいとまがないほど「介入」が進んでいます。

その結果として現場がどうなっているのか。住民投票が終わった後、京都大学大学院の藤井聡教授が「豊かな大阪をつくる」というテーマで連続6回のシンポジウムを開催。一回目、大阪大学小野田正利教授の「7年余の破壊から立ち上がる人々を支えたい~『大阪の教育の明日を考える会』の代表として」というお話はマスメディアが表層的に伝えるものとはかけ離れた「教師の逃散」「なり手不足」「教育大学の大阪パッシング」という恐ろしい現実を浮き彫りにしました。次回に具体的な内容に触れます。
(大阪民主新報2月14日号)

6月4日に開催された「豊かな大阪をつくる」シンポジウムでの小野田教授の資料です。
なお、シンポジウム全体のホームページはこちらです。