2009年10月24日(土) 認識の乖離のなかで 2

昨日、「言いたいことを全て言って、それをメディアに全て伝えてもらおうと思うのは大間違い」と書きました。このあたりのことに今日は少し触れてみます。

市長就任以来、記者会見や予算発表、政策推進ビジョン発表などあらゆる局面で自分なりに「この情報の出し方でわかりやすいのだろうか」と自問しながら臨んできました。情報の出し方という点で長年現場にいた感覚で現場に対し勝手に指示を出しています。

大阪市は情報の出し方が下手でした。(今でもそういった面はあるかも)これは「大大阪」がそんな些細なことを大仰に言うことはない…とでも言いたげな鷹揚さが残っていたのかもしれません。
一方、メディアは限られた紙面、時間の中で「何が言いたいのか」「何が新しいのか」「何が変わったのか」など独自の判断で情報を切り取ります。そして次の段階でデスクの判断が加わり、時にはこちらが思っていたことと正反対のことを伝えられ慌てることもあります。

ある意味、それがメディアの独自性であり、存在証明なのでしょう。

ところが切り取られた情報にしか接することができない状況では、この加工情報を信じざるを得ないという現象が普通に存在します。

その加工情報が本来意図する方向と反対になったときに、周辺にどういった作用を及ぼすか、などといったことをメディアは考える必要はありません。ですから、どうしても読者、視聴者を惹きつけやすい見出しやタイトルをつける傾向がときどき見られます。また、自らの思い込みや作り込みにあてはめるだけの取材といった形で表れることもあり、取材協力をした職員が「2度と協力しない」という悪循環におちいることもあります。

WTCへの府庁舎移転を巡っての21日の府議会本会議場での「認識」情報交換は本当に府市協調で何かが変わるのではないかという期待を府民に持っていただきたい。その代表の府議会議員の皆さんに分かってもらいたいという思いで臨みました。

「平松の(大阪市の)本気度が見えない」とだけおっしゃっていた方もいらっしゃる府議会で、訴えたかったことの真意は、ここまで進んだ情報公開の中で「騙す」だとか「裏切る」などということは不可能に近いし、生でのやりとりという基本的な情報に直に触れることにより、加工情報だけでは得られない判断基準を持っていただきたいという思いでした。

2009年10月23日(金) 認識の乖離のなかで 1


WTCへの府庁舎移転に関する採決の日が刻々と近づいてきています。やはり、落ち着きません。橋下知事からは昨日の午前中にお電話をいただきました。府議会本会議場での所信説明に対するお礼の電話でした。

この間、府と市の担当職員は本当に連絡を密に取り合い、「府市合わせ」だと揶揄されたひと昔前(直近でもあったのかも…)とは隔世の感があるそうです。

そうしたことを身近にいる職員から聞くにつけ、情報の伝わり方の難しさを実感します。昨日のブログにも書きましたが、府議会での知事、議員とのやりとりを私は主にダイジェストで見る方が多く、これは逆に大阪市会での私と市会議員のやりとりを府の関係者もダイジェストで見たり、聞いたりされるのだろうということです。

情報の奔流の中で全てに目を通したりするのはとても無理な相談ですが、新聞やテレビ、ラジオなどで伝えられる情報が記者のフィルターを通した加工情報であるという部分を往々にして忘れる傾向があります。

市長という職務をさせていただいてなければ、情報の読み取り方というか「メディア・リテラシー」を研究したいと思っていたものの、いざ一方の責任ある発信者になると、なかなかそこまで思いを致す余裕がありません。

多くの府議会議員の皆さまとは初対面という状況でした。先方とて同じだと思います。人間の触れ合いというのは、加工情報に多く接していればいるほど、そこから得られている認識情報と自分の目で見、耳で聞くという原情報に接した時にその違いに驚くことが多々あります。

言いたいことを全て言って、それをメディアに全て伝えてもらおうと思うのは大間違いで、如何にメディアが伝えやすい形で情報を発信するのかという部分を抜きには「真意」が伝わらないし、その努力は必要です。

市長になって、様々な記者会見、インタビュー、ぶら下がり取材、囲み取材を受けた経験から、少しずつ学び始めています。取材する側だけにいたのではわからなかった情報の伝わり方が実感できています。

府議会本会議場での同じ空気を共有するという時間が、何かを生み出してくれればいいと思っています。今後の大阪・関西の元気を取り戻すためにも「疑心暗鬼」状態ではない、「なんや、同じ方向を考えてんねや」という安心感から始まる何かを探ります。

2009年10月22日(木) 長い一日が明けました


昨日は朝早く、府庁近くにある市公館で所信説明と答弁のチェックを済ませて、9時半に府庁へ。多くの記者、カメラが待ち構える中、橋下知事のお出迎えを受け、知事室に入りました。
その後の状況は新聞、テレビが報じてくれた通りです。

正規の議事録には残らないとはいえ「歴史的」な府庁乗り込み(船乗り込みではありません)に際し、府議会議員の皆さまには「大阪市長」を迎えるにあたって随分と気を遣っていただきました。答弁の有無についても、いろいろと意見があったようですが、せっかくの機会に「言いっぱなし」・「聞き置くだけ」というのもどうかということから、所信骨子、質問骨子、答弁骨子、再質問骨子といった「骨子」の事前やりとりをしました。

そして、府議会議員4会派の皆さまがお聞きになりたいこと、確認されたいこと、そうしたことにまずきちんとお答えするという点を重視し、推敲を重ねたものです。

そうしたことからか、アドリブ答弁の少なさに疑問を呈する意見もあったようですが、日頃の橋下知事誕生以降の府バトルモード満載の映像をご覧になっていることからくる「もの足りなさ」という面もあるのかなとは思います。

日頃、私が大阪市のスタンスとして(本気度?の発露として)言い続けているものの、メディアの目を通した(編集された)情報を主にご覧になっている府議会の皆さま(これは市民も同じ次元になります)にとっては、お聞きになりたいことに誠意をもって答えるという当然のことを実現・実感できた機会でもあったと思います。その席で、WTCへの府庁舎移転がなった後の街づくりに責任をもつのは当然だと言わせてもらいました。

26日の採決でどうなるかは府議会議員の皆さまにかかっています。
大阪府、大阪市が力を合わせれば関西の活性化に向けて必ずや大きな前進となるという信念を橋下知事と共有して府庁移転にゴーサインを出していただきたいと切にお願いする気持ちです。
なお大阪市のホームページのこの所信説明の原稿を掲載しております。ご一読いただければ幸いです。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000055735.html

2009年10月20日(火) いよいよ明日です


明日、平成21年10月21日は大阪府と大阪市にとって記念すべき日となります。WTCへの府庁舎移転問題で、府議会本会議場での意見交換会が午前10時から開かれるのです。

府議会の本会議場に大阪市長が立つというのは「前代未聞」のことらしいです。(少なくとも戦後初らしい)そうした機会を与えてくださった府議会の4会派の皆さん、橋下知事に心から感謝の意を表します。

緊張するでしょうね。

今からドキドキ、ワクワクしています。

還暦過ぎのオッサンがの言葉ではないかもしれませんが、本当にワクワクしています。今、まさに新たな府市連携の扉を開こうとしています。午前10時から本会議場で所信説明をさせて頂き、その後、4会派からの総合質問をお受けするという流れになるそうです。

今夜は興奮して眠れないかもしれません。

市長になって2年足らず。橋下知事はまだ1年と8カ月余り。経費削減、無駄を省くという大きな流れの中で、広く問題になったのが「二重行政」という言葉です。(国を入れれば三重行政という面もあり)すでに数年前から問題視されていたことですが、果敢に挑戦しようという知事のメッセージに応える形で現場を鼓舞し、その成果が見られそうな水道協議をはじめとして、今後も様々な視点からの取り組みを「地域主権」を目指すという観点で発信したいものです。

大阪府と大阪市は仲が悪くて当たり前。その方が東京一極集中を高めていく上で好都合…。そんな固定観念が通用しなくなるようなダイナミックな動きをしたいですね。