2010年6月17日(木) 大阪"都”構想への思い…箕面市長倉田哲郎様


「ツイッター」って本当にいろんな情報が飛び込んできますね。去る6月1日に大阪維新の会のアカウント「oneosakaで知事が私に呼びかけてるよ」という情報が入りました。

調べてみましたら6月1日の午後5時42分にoneosakaさん(大阪維新の会のツイッターアカウント)が『維新の会代表の橋下です。箕面市の倉田哲郎市長が口の悪い僕に代わり、わかりやすく「大阪”都”構想」について触れてくれています。平松市長にも見ていただけたらなあ。http://blog.kurata.tv/article/38476530.html』というものでした。

その、およそ3時間後の午後8時35分に私宛の発信で『先ほど経済人維新の会で橋下知事と会い、ツイートして下さいとお願いしたら、返答義務があるように考えていまして実情不可能との事、既に体感している市長からも是非勧めて下さい。… 』とのこと。

内容の真偽については分かりませんが、ツイッター上で多くの方に見ていただいた情報です。この発信に対し『「代表の橋下です」というのは、きっと大阪維新の会のどなたかが書かれたのでしょう』というようなツイートを返信しました。

ツイッター異聞の3と言えるかもしれませんが、そこで本題です。

倉田哲郎箕面市長のブログも読ませていただきました。「大阪都」のことを詳しく解説されています。国での行政経験がおありなので、客観的なご意見を冷静に述べられていると思います。

ただ何箇所か実情を十分にご理解頂いていないのではと感じる点がありましたので、大阪市の実情をご紹介したいという思いを書かせて頂きます。

倉田市長のブログの文中「周囲との協調をまったく考えない大阪市」と「大阪市に手出しできない大阪府」という表現があります。

まず、「周囲との協調をまったく考えない大阪市」という点についてですが、よく知事が「大阪市は大阪市のことしか考えていない」とおっしゃっていることと同趣旨でしょうか。歴史的に見て、大阪市は圏域の母都市として、大阪全体の発展のための施策と責任を果たしてきたと思うのですが。

例えば、大阪地区の阪神高速道路の事業(空港線の延伸時にも)には府と同等の出資を行いましたし、今は堺市域の大和川線の事業も負担しています。そして関西国際空港へも、府の11%の出資に対し、市は5.5%を出資しています。また、昨年度、国の社会実験として半年打ち切りの予算で大阪市が始めた「救急安心センター」は、大阪府市長会の席上協力をお願いしたところ、今年度から応分の負担を頂きながら、現時点で16市による共同運用となり、その動きは府下全域に広がろうとしています。その他にも休日夜間診療所や総合医療センターは市内だけではなく府内の人たちの安心を支えています。

また「大阪市に手出しできない大阪府」という表現ですが、大阪市は、府が大阪市域に投資してくれることを拒んではいません(少なくとも私の任期中は)。

咲洲・夢洲のまちづくりでも積極的に大阪府の協力を求めています。一方「差等補助」の問題では、なぜ大阪市の子どもたちが、政令市というだけで他の市町村と差別されなければならないのか、大阪市域へ本来出るはずの府としての補助を渋っている理由がわからないので、「市政だより」などを通じて抗議してきました。大阪府は大阪市も含めた大阪府域全体の市町村のために働くことが本来の仕事ではないのでしょうか。

倉田市長はまた「「政令指定都市」というカテゴリーに入る大阪市は、都道府県レベルの仕事のほとんどを独自に扱うことができるようになっており、多くの分野で大阪府の権限は及びません。その意味で、大阪府と同格と捉えてよい」とも言われていますが、細かい点をチェックしますと、昭和31年に始まった「政令市」制度というのは「大都市制度」を求めた旧五大市の思いを暫定的、限定的に認めたもので、税制上の措置不足が存在することはご承知の通りです。

あと「東京都モデルの方が優れている。」とも書かれていましたが、これは東京が首都だから優れているように見えるのではないでしょうか。東京で暮らしたことがないので私には実感としては分かりません。モデルとされている東京では、現在の「特別区」について廃止すべきだという議論があるのはご存知だと思います。だって、世田谷区だけで政令市が作れる人口で83万人ですよね。こうなると知事がおっしゃってる30万人ほどの区に整理統合するというのは世田谷を分割することになります。

長い歴史があり、人々の暮らしを支えてきたコミュニティをどう守り、新たな息吹を注ぎ込むかという点が今、一番問われており、制度論ではないと思いますし、効率や、人口規模だけで地域社会に制度を押し付けることは自治の解体につながると思うのですが、いかがでしょうか。

次回は大阪市と大阪府が決定的に「府市あわせ」になった時代、大阪市は市域拡張を目指し特別市運動をしたことや、それを徹底的につぶしにかかった大阪府の動きなども含め、不毛な論争を避ける方法を探りたいです。

2010年6月13日(日) 拝啓、「大阪維新の会 松井幹事長様」…ツイッター異聞


これから書くことは、またまた誤解を招くかもしれないという思いと同時に、誤った情報の怖さを知る身として、書き留めたいという思いで書かせて頂きます。

実は、12日土曜日に大阪維新の会の皆様が生野区の補選に向けて街頭行動をされました。その街頭演説でさまざまな発言があったようですが、事実を事実として伝えたいという私の思いを、勘違いされているのではと思える松井幹事長(府議)のご発言についての連絡を友人からもらいました。

友人から電話「市長、ツイッターてなもんしてるの」

私「やってるけど、どうして?」

友人「実は大阪市の水道局職員の給料について、猪瀬(東京都副知事)さんに1000万円やなくて6百何十万かで、これのどこが高いと市長がいってると松井さんがいうてた」

私「えーっ!(絶句の後事情説明)」

発端はツイッターでフォローしてくださっている方には全てお分かりだと思いますが、6月8日に、あるフォロワーの方から、猪瀬副知事がツイッター上で大阪市の水道局員の給料が1000万円というつぶやきをされていたということからでした。

ツイッターの使い方を日々学習しながら、まさかという思いで猪瀬さんのツイートを見て、その後のやりとりを「討論」と取られないよう気をつかったつもりでした。

togetterというソフトを使って、この間のツイートをまとめてくださった方がありますので、一度ご覧ください。http://togetter.com/li/27912

猪瀬さんと私とのやり取りだけではありませんが既に4200人近くの方がご覧になっています。ネット社会の情報の伝わり方の早さと、マス・メディアによる「とらえ方」により印象が大きく変わってしまうという状態がよくお判りいただけると思います。途中でこのやりとりを批判されている方もありますが、それはメディアの伝え方に起因するのではとも思い、いい例だと判断しました。

私は事実を事実として伝えなければ、またまた「大阪市の改革は何も進んでいない」という、新たな「刷り込み」に繋がる恐れを感じたから、猪瀬さんに「何故そうなるのか」をお聞きしただけであり、「東京都より低い」とはいっていますが、職員給与についてこれでいいとも申していませんし、安い、高いという議論ではありません。

その友人は街頭演説での発言を録音してくれており、再度確認しました。すると松井幹事長は私がツイートで「678万しかもらってない」とつぶやいたといわれ(そんなつぶやきはと当然しておりません。ご確認ください)「市民のための役所に なるように大阪市政を変えていく、それが我々大阪維新の会です」ともおっしゃってたとか。

一方、マスメディアの一部では予想通り「バトル」とか表現されています。「対決図式」を好む今の風潮でしょうか。また「維新の会」の橋下代表の「敵か味方か」という判断基準をそのまま援用されているのでしょうか。まぁ、好意的に判断すると松井幹事長はこのメディアの伝え方しかご覧にならず、ツイッターでの生のやり取りを確認されていないのではないかとも思えます。

多くの人たちが橋下代表の人気の高さに思わず足を止めて聞き入るのは福島補選でも見られた光景です。恐らく、生野補選でも同じ作戦を取られるのでしょうが、引用される場合は事実に基づいた引用をされるべきだと思い、このブログのタイトルにしました。

松井幹事長は比較の対象として「大阪府の民間平均給与300万」ともいわれたそうですが、府議会議員として2期の経歴をお持ちの松井幹事長が公務員給与の決め方をご存じないはずはありません。また、府の職員給与については言及されておりません。20年度の府のHPで確かめたら、水道部の職員給与は693万ほど…(21年度ではもっと下がっていると思います)

維新の会の目指される政治とは伝聞でもなんでも、利用できるものはするという方向なのでしょうか。そのような政治が、本当に住民を信頼したものといえるのでしょうか。住民を信頼し、どんな不都合な情報でも開示する徹底した情報公開のもとにこそ、真の地域主権、市民協働があると考えます。

こんな議論をすることに何の意味があるのかとむなしくなりますし、もっとのびのびと将来の大阪像を語りたいものです。

1000万円以上という猪瀬さんのつぶやきを発端として、事実はこうですよとつぶやいたときにも、感情的になってはだめだよというのを自分に言い聞かせておりました。討論ではなく、誤った認識を正したいという思いだけです。

一連のやり取りの後、先日猪瀬さんから直筆のお手紙と、サイン入りの『東京の副知事になってみたら』と『ペルソナ』を送っていただきました。お手紙には東京都の改革をより進めるという決意が語られていました。お礼状をしたためようと思っております。

先日(11日)ユーストリームで配信させていただき、また市のHPで動画配信もしております定例会見で、項目説明の最後、記者質問の前に、こう申し上げました。

「府市協調して大阪を盛り上げ、元気にしたいと、そういう思いを依然、勿論強く持ち続けております。そういうことで大阪維新会代表の橋下さんではない、大阪府知事橋下知事とはいつでもお話をする用意はあるということでございます。」(http://bit.ly/fvHrGU の動画を見る、10分54秒から)

また、去年の10月21日、大阪府議会本会議場で意見表明をさせて頂いた際には「かつて大阪市が提唱したスーパー指定市構想に対して大阪都構想という理念のぶつかり合いだけの不毛の議論を置き、今こそ実質的に府と市が協調することで東京一極集中、中央集権制度に対する地方の存在証明につながる動きにしようではありませんか」と言わせて頂きました。

この気持ちはいささかも変わっておりません。