大阪市の今年の国家予算要望での最重要課題は生活保護費の国庫全額負担をお願いするというものです。その視点からは「今こそ、地方の時代“大阪からの発信”」と題されたシンポジウムではっきり「国庫全額負担」が宣言されたことは大きいことだと思います。
昭和25年法律の施行から殆ど変化がないまま放置されている生活保護の問題について、大阪市はこれまでも度々制度改正や抜本的見直しについてお願いしてきましたが、国は「大阪市の認定が甘い」だとか「濫給」という言葉で問題の本質をすりかえてきました。
それが去年のリーマンショック以降、全国各地で派遣切りだとか非正規雇用の雇い止めといった状況から、生活保護申請が殺到し、大阪市だけが云々といった国の「言い逃れ」は意味をなさなくなってきました。そんな中、大阪市が抱える負担は一般会計の15%を生活保護費に充当せざるを得ないという莫大なものになっています。
生活保護が憲法25条で補償された生存権に基く規定というのはご存知のとおりです。しかし「権利」に対して「義務」があるのも当然のこと。国民の義務規定として教育(26条2項)、勤労(27条1項)、納税(30条)を3大義務としています。義務を果たしたくても果たせない状況に置かれた人をどう救うのか、またその環境をどう整えるのかという大きな問題を解決するための国の存在を見逃している「効率至上主義」の過ちを見直す好機と捉え、全力で発信していきたいと思います。