12日に橋下知事が大阪府と大阪市の関係について記者団に「府と市の財布を一つにして」という府市合同、統合とでもいう方向性を打ち上げられました。
知事のこの発言については以前から何度か発信されていたように記憶しています。確かに二重行政という表現で言われている多くの行政の無駄は実感できるものが多々あり、橋下知事誕生以降の府市協調路線を進めていこうという私の気持ちとも軌を一にする部分もありました。
昨日の定例会見でこの一連の知事の発言に対し「早くコメンテーターを卒業して、大阪府知事として広域行政体の長としての責任ある発言をして欲しい」という意味でのコメントをさせていただきました。大阪府と大阪市の関係を巡って記憶に残っている知事vs市長のバトルというのは太田前府知事と故磯村市長の「大阪新都構想」vs「スーパー政令市構想」の論争です。
この論争のときにはお互いが一歩も譲らず、メディアの格好の餌食になる「絵空事」vs府側の「老いては」発言となり、現実的な府市協調路線というものを選択できませんでした。そうしたうわべの不毛な論争をもうやめて、実質的にやれるものから協力し合おうと思っていますし、去年10月に大阪府議会本会議場でWTCへの府庁移転をお願いする説明をさせていただいた際にもこのことを引き合いに出しました。
新たな地平に向かって動くというのであれば、もっと具体的なプランを、府の職員の力も総動員して練り上げ、広域行政体の長として大阪市、堺市といった指定市(これも府県と完全に対等の権限があると誤解されて報じられることが多い)以外の市町村に対する責任も含め、用意をした上での投げかけをして頂きたいという思いから、コメンテーター発言になりました。
報道によれば、知事は5月ごろまでに具体的なプランをまとめたいといい、特に来年春に行われる統一地方選挙に向け新しい政治グループを立ち上げるとも発言されているようです。こうなると府知事という職務と政治家橋下徹という住み分けをどうされるのかについても一定の方向性を出して頂かないと、府の職員はじめすべての改選府会議員、府下市町村の議員の方たちや有権者にとってもムードだけで自分たちの暮らしを支える地域主権を目指す大きな選択をしなければならないというのは「危険」ではないかと思います。
橋下知事の発信力、発言の影響力の強大さはいやというほど分かっています。だからこそその発言については慎重であってほしいと常々感じています。自分の「元気メッセージ」にはそぐわない内容かもしれませんが、敢えて「コメンテーター」発言の真意を分かっていただきたく書きました。
大阪市は確実に変わりつつありますし、その方向性として地域主権というものをしっかりと見据えながら新政権のもと、そのモデル都市としての可能性、矛盾などなどあらゆるものを包含している大都市だと言い続けている私としては、知事が単に「ガラガラポン」ではない、方向性を具体的に早く示して頂かないと反応すらできないという思いにかられています。