各社均等に時間割をし、大体20分程度で済んだのですが、これからご紹介する朝日放送の取材は、「3周年インタビュー」というこちらが受けた条件とかなり異なった展開となり、かつそれが「堀江のどく断」というコーナーで「アナウンサーを卒業せよ!」と題した刺激的な形で放送されたものでした。
今回、こうした内容をブログに上げるのに、市役所側の認識と、取材者側の認識にずれがあったことが分かり、役所の報道課と朝日放送の担当者との間で、事前、事後にやりとりがあったようです。曰く「取材内容の変更については事前に要請し了解を得ている」というABCに対し、「他社にも3周年のインタビューということで受けているのに、対維新の会という色合いが濃すぎる内容には応えられないと伝えた」というものです。
なぜ、「アナウンサーを卒業せよ!」という刺激的なタイトルをつけたかについては朝日放送の報道(あるいは堀江記者)の認識として、私の過去3年間の姿と取り組み方がそう映ったという判断なのでしょう。敢えてアップしたのはコメントの使われ方について、実際の放送内容と、取材時の私の受け答えを再現(つまり編集が入らない状態)することで、マスメディアの切り取り方を皆さんにみてもらいたいと思うからです。
40分のインタビュー全ての内容はまた後日ブログでお届けするつもりですが、余りにも長くなりますので、第1回として「アナウンサー」という文言に限って、構成します。私が聞かされていなかった「どく断」コーナーでの取材ということもまた知事が出演した12月1日の内容も見ていない状態でのやりとりがあり、取材の最後の段階で、あまりに3周年インタビューとは違う内容に私から苦言を呈した部分がこのタイトルになったのだと推察します。
放送の最後はこうでした。
≪ナレーション≫
40分を越えるインタビューの最後に、橋下知事を取り上げるメディアの姿勢に苦言を呈した。
~~市長応接~~
(橋下知事は)確かにメディア受けするし、ワンフレーズ、キャッチコピー作ること、うまいかたですが。あの、歴史的にそういう言動がもたらした過去の遺産、負の遺産っていうものが数多くある。メディアの食いつき方が間違ってるっていうのが、僕の今の感覚なんですよ。
~~市長応接室ドアの前~~
平松市長
私の場合はアナウンサーだった。それはご存知だと思いますが、その、タレントとは違う。で、無責任な発言をぼんぼんぼんぼんできるっていうタレントで許してしまってるのはメディアなんですよ。
≪ナレーション≫
アナウンサーだから無責任に話せない。平松市長はそう言って部屋をあとにした。
~~スタジオ~~
堀江キャスター 【テロップ「平松市長に求む!アナウンサーを卒業せよ」】
この、メディアの食いつき方が違うんじゃないかという平松市長の考え方というのは、私たちもちゃんと受け止めなければならない大切な言葉だとは思うんですね。で、一方でアナウンサーだから無責任な発言ができないっていうことなんですけれども、これは、アナウンサーという仕事をやった人間だったら、橋詰さんも小縣さんもわかると思うんですけれども、取材した人であったり、記者であったり、番組の考えであったり、みんなの意見を調整して自分の考えもまとめて、わかりやすい言葉で伝える。そこには局アナである以上、中立・公正というのが保たれる、こういうことですよね。
橋詰アナ
そうですね。やっぱり自分だけの考えでぽんぽん何でもしゃべってもいいっていう立場ではないですよね。
小縣アナ
ただ、今は「元アナウンサー」ですけども、今は市長ですから、その元アナウンサーにそこまで縛られる必要は今はないんじゃないかとは思うんですけどね。
堀江キャスター
まあ、私の感想なんですけれども、インタビューしていて、今、例えば関西州の話でも、各自治体の長であったり、あるいはその、各政党というようなところの考え方であったり、これを今、すごく調整している、みんなの考えを聞いている、そこに重きを置いてらっしゃるんじゃないのかな、そして理想を追求されてるんだなあというような感じがするんですね。
小縣アナ
まあ、等距離、調整も大事ですけども、その上になんかこう、自分の意見、イメージはどんと具体的に出してほしい感はありますね。
堀江キャスター
まあ、つまりその、独裁的にやっている橋下知事と正反対の位置にいるということを、自分はおっしゃりたいんだと思うんですけれども、ただ、小縣さんおっしゃるように、理想を追求するためにはちゃんとしたリーダーシップっていうのは当然ないと、飲み込まれてしまうんじゃないかという、そういう危惧を私どもは持っているわけなんですね。
で、市民はやはりメディアで培った発言力とか、発信力とか、そういうものを期待して市長に当選させたというような背景があるんじゃないかと思うんです。
だけれども、ちゃんと大阪のビジョンていうのを私たちに、それこそわかりやすい言葉で伝えていただきたい。
そこで、あえてもう一度「ドク断!」です。
『アナウンサーを卒業せよ』
プロの市長としてのコメントというのを、私たちは期待したい。
実は3年前、市長候補時代の出陣式のときの模様を、あらためて見てみたんです。
日本のリーダーとして大阪の名前に、大阪の存在感を打ち出していきたい、そのために立候補しますという話だったんです。心意気、いいじゃないですか。
橋詰アナ
ちゃんと夢を語ってらっしゃったんですよね。
堀江キャスター
そうなんです。残りの在任中も、さらに夢を語りながら、具体的な方策というのを見せていただきたいというふうに感じます。
「ドク断!」でした。
という内容でした。
ところで実際のインタビュー内容は当然長いのですが、我慢して読んで下さい。以下のようになります。青字が放送された内容です。
市長
いえ、それが、ひとつの方向性だから。あの、今日の取材を受けて朝日放送さんが大阪をどうしたいと思ってらっしゃるのか。大阪市に本社がある朝日放送さんが、大阪市をどう思ってらっしゃるのか、大阪市民がどうあってほしいのかみたいな部分を、軸をお持ちなのかなという疑問は感じました。確かにメディア受けするし、ワンフレーズ、キャッチコピー作るかた、作ることうまいかたですが。あの、歴史的にそういう言動がもたらした過去の遺産、負の遺産っていうものが数多くあるっていうのをご存知のマスメディアが、こういうことをお続けになること自体に対して不思議だなあって思いながら答えさせていただきました。市民の皆さんどうお思いでしょうか。
堀江キャスター
難しいんですよ、伝え方はね。難しいからこそ、アナウンサーだった市長がですね。
市長
私、間違ったこと言ってませんよ。
堀江キャスター
いや、違うんです。だから、そういうものに対してどう対峙するのか。戦うというよりは、同じ土俵に乗らないにしても、しっかりと何かをPRして、それにメディアがワッと食いついていかないと、なかなか伝え方が難しいわけですね。
市長
いや、あの、メディアの食いつき方が間違ってるっていうのが、僕の今の感覚なんですよ。
堀江キャスター
いや、わかってますよ。だからこそ、だからこそ、その間違ったメディアを間違ってるというのではなくて、こっちに来いっていうのが、アナウンサーだった平松さんのお仕事ではないんですか。
市長
あのね。違うんです。違うんです。違うんです。それは違うと思います。僕はメディアの矜持ってどこにあるのやと。むしろ。むしろ私は伝える側にいましたから、自分の局なり番組を持ってる軸ってのはどこにあるというもので判断します。その、「わー行けー、みな行けー」いう部分を「ちょっと待て」っていう人がどこにおるいう部分で、いつも判断したいというのを、実は豊田商事事件のときに、現場にいた記者と当時の報道部長との間のやりとりを見ていて、自分自身の物事を伝えるっていう部分で、踊らされてはならない部分っていうのをしっかり教えてもらったという気がしますんで、皆さんが私を踊らせようとしているのか、皆さんが踊っているのかという部分がいつか分かるときが来るでしょう。はい。そう思います。
堀江キャスター
市民が判断するということですか。
市長
市民なり、いろんな方が、歴史が判断する。
堀江キャスター
長時間ありがとうございました。
市長
いえ。というか、事前にいただいていた内容と全く違う構成に、こういう構成であるということは聞いてました?
大阪市報道課長
いえ、聞いておりません。
市長
だから、それならそれで私としても、知事が見たビデオ、あの、知事が出たビデオを見ないといけないですし、見てなかったんで、どういうトーンで報道されたのか、放送されたのかって知らないまま、逆に目隠しでわたしはインタビューを受けたという印象が否めません。ですからこういう発言があった番組に対して、今度、市長が3年目という形でインタビューをしたいんですと、おっしゃっていただければ、我々としても素材は用意したでしょうし、この、今書いた「反大阪市分割構想」というような文言も、もっと考える時間があったと思います。だから、これはフェアーじゃないと思う。むしろやっぱり知事に寄っているという風に判断されても仕方がないんじゃないかな。で、放送局がその、今のままのスタンスでいいんですかっていうのは、僕は放送局の力知ってますからケンカしたくないんです、正直。あの、放送局に睨まれたくないし、ケンカしたくないけれども…。
堀江キャスター
あの、平松市長ね、あの、今回のことは別に橋下さんのインタビューに対してっていうことでは無くて、平松さんの今やりたいこと、考え方を引き出したいと。
市長
違います。いや、違います。いや、だから比較になるわけです。どっちにしても。
堀江キャスター
いま流れとしてはそうなってしまいますよね。はい。
市長
比較になる場合は、比較材料になる元、オリジナルを、こちらが知っているのか知らないのかというのは、非常に大きな要素。で、同時に二人が同じ場所で話をするんであれば、それはもう何のハードルも無いんですけれど、以前に、知事はうちの番組12月1日に出てこういうことおっしゃったという前提からこの…
同席したA記者
それはご理解いただけないのは…そういう発言があったというのは…
市長
わかります。わかってます。
A記者
そういうことではないですので、あくまで平松市長のお考えをぜひ。やりたいことをお聞きしたいので聞いた…
市長
いや。でも、話の7割くらいは知事の発言対私。あるいは大阪維新対私であって、私の3年何をやったかっていうものは、ほんのちょっとであったことは印象としてあるわけです。
A記者
あぁ。なるほど。あ、そういう印象ですね。
市長
だから地域懇談会にしろ、それから地域振興会にしろ、大阪市の不正であるとか不祥事だとか、といったもの私がどうやって取り組んできたか。この不祥事が散々たたかれてることを、私自身は「よっしゃ。よう出てきた。」思ってやってますから、今は。出てくるだけの大阪市は組織になってるし。大阪府には無い、公益通報制度、公正職務審査委員会の厳正なやり方というものがあるから出てきていると。これを広くほかの自治体の人たちが見て、大阪府内ほかの自治体にも全部同じような公正職務審査委員ができれば、もっともっと山ほどいろんなもん出てきます。
堀江キャスター
その出てくるのはしっかりやってるから出てくると。
市長
そうなんですよ。
堀江キャスター
ええ。
市長
それに対して、不祥事の再発防止っていう部分でも、今日本一番厳しい服務規律持ってますから。あの、悪いことした人間をどんどん全部追い出していく、いう形で今やってるんで。あの私の3年に対するインタビューっていうことでお受けしたんで、例えば、先日橋下知事に出てもらった。それを見て、見たうえで3年を振り返ってほしい、ということであればそれなりの準備をしただろうにと。これだけ、時間オーバーして次の社待ってますけども、これはやっぱり自分自身、取材を受けながら、もう内心煮えくり返る思いで、お答えさせていただいた。そういう部分をおわかりいただいているのかどうか。朝日放送って、もうちょっとしっかりした基準を持ってらっしゃったはずやという部分で言わせていただきました。
A記者
わかりました。ご意見はしっかり承っておきます。
市長
はい。お疲れ様でした。ほんまにね、メディア敵に回したくないんですよ、正直。メディアを味方にしたいけど、で、おっしゃるそのアナウンサーとしての表現力とか、発信力という。私の場合はアナウンサーだった。それはご存知だと思いますが、その、タレントとは違う。で、無責任な発言を、ぼんぼんぼんぼんできるっていうタレントで、その、何でもいいからやる、光市の事件だって同じやないですか。最高裁までいってどうなるんかわかりませんけども。ああいうことを弁護士が言うということ自体を許してしまってるのはメディアなんですよ。
A記者
あの、ご理解いただきたいのは、3年間の橋下さんとの関係の中で、今こういう大阪都という局面を迎えているというところで。
市長
全部をね、うちも録音してますから、起こしたら、どういう状況になってたかってのは皆さんもおわかりいただけるはずですよ。これは並んで話を受けているときから、ちゃんと感じてることですし、元メディア出身ですから、メディアっていうか放送局出身ですから、取材意図はどこにあるのかなとか、そういうのは、わかりながらお答えしているという部分を是非ご斟酌ください。
これで「アナウンサー論」ということの誘導加減が分かって頂けると思います。
一方、12月1日の知事インタビューのタイトルは細部は違うかも知れませんが「大阪都構想完成目前」というものでした。この取材を受けたあと録画をチェックして分かりました。確かに最後のスタジオ部分で、「卒業せよ!」といった強いニュアンスを弱めようとされているかの印象は受けますが、この部分以外のやりとりはとても3周年インタビューというものではなく、「対大阪都構想」もしくは「対大阪維新」というものだったと感じました。いずれ、別の部分のアップと全体もアップさせて貰い、マスメディアの編集方法というものを実感して貰おうと思います。
なお、このブログは字の色を変えるためと、近々公式ページの移設を考えてますので、bloggerに書き込みました。