私が考える大都市の姿とは

前回のブログで「これからの大阪・関西の繁栄と市民の幸せのために、大都市のあり方はどういう方向にあるべきかについて、このブログで私の考えを書いていこうと思います」と書きました。

今日はまず、私のビジョンの方向や考え方を、2月22日市会の代表質問が終わったのを機に書かせてもらいます。

<私が考える大都市の姿>

市民の暮らしや福祉のためにも、大阪や関西全体の繁栄・発展のためにも、成長戦略が重要であることは言うまでもありません。関西全体の成長・発展に貢献するために大阪市が何をすべきなのか。

それを目指す産業経済政策の基本戦略ともいえる、*「大阪・関西の発展に向けて~大阪市経済成長戦略~」を発表しました。現在の日本の社会経済状況を踏まえた上で、大阪・関西の優位性を活かしながら、オール関西の視点で企業や経済団体などと方向性を共有しながら取り組むためにつくったものです。

経済界でも既に議論になっていますが、世界の都市間競争は、都市単独ではなく、複数の「都市」で構成される都市圏(*メガリージョンと言われるものです)の競争の時代となっています。

そういう意味で、関西という地域は、大阪だけではなく京都、神戸など、個性豊かな大都市が集まって、歴史的に多核型の「都市圏」を形成しています。経済面だけでなく文化・生活面においても世界有数の魅力的な地域を形成していることが特徴です。

こうした感覚は、住んでいると「まぁ、こんなもんや」と取り立てていうことではないと感じておられるのではないでしょうか。ところが、市長になってから、在阪の外国人ビジネスマンや、領事館関係者と「大阪」をどう見るかについて話し合う機会を持つ度に、「関西人」にとって当り前のことが、外国の方からみると違って見えることに気づかされました。

特に大阪について、「初めて」という方は、異口同音に「こんなに人の優しさや、ロケーションの恵まれた場所だとは思わなかった」と言われます。我々には「普通」のことなのですが…。
先月、英国の雑誌「エコノミスト」で世界で最も住みやすい都市ランキングが発表されたのをみて、なおさらその感を強くしました。大阪市は世界140都市のうち12位、アジアではトップ(つまり当然日本で1位)に位置付けられています。

大阪市の規模だとか面積だけを問題とするのではなく、むしろこうしたその都市の「特性」を活かしてこそ、関西圏の発展に繋がると考えることが普通であり、当り前だと思います。そしてこの関西の各政令市がエンジンとしての役割を担っていくべきだと考え、平成20年の夏から京阪神堺の4市で市長会議を始めています。

一方で、最近「広域行政」という言葉をよく耳にします。

この「広域」という概念は、人やものの動きの変化に合わせてどんどん広がっていて、今や府県域を超えて関西という視野で議論されています。

昨年12月には関西の2府5県が集まり、広域的な行政課題に取り組むため関西広域連合が日本で初めて設立されました。大阪市をはじめ4政令市も今後参加していくことを表明しています。

関西の将来像を議論する中で、府県の仕事は、より広域の補完・調整に限定・転換されていくのではないでしょうか。そして現在の府県が将来的に「関西州」に一本化されていくのは当然の流れだと思います。

勿論、すぐにはそんな時代はやって来ないでしょう。
しかし中長期的な視野で考えた場合、私は府県境を意識するよりも、各都市の連携によって、「広域的な成長」に繋げることができるだろうし、実際の取り組みも目に見える形で早く進むと思います。

そうした観点から大阪市を権限・財源面でいかに自立した都市とするか、そして、他都市といかに連携するかということに力を注ぎ、取り組みを進めています。

23年度予算案では、市民の力で築き上げてきた都市の総合力、つまり文化・芸術・人材・環境・安心・ホスピタリティといった様々なものでできているこの大阪市の都市格を、香り高い文化都市として発展させて未来に繋げていく施策を盛り込んでいます。

また都市連携を重視し、具体的に動いている大阪府内の全市町村と連携した「救急安心センター(#7119)」の運営、海外からの観光客を意識した「関西メガセール」を関西各都市で実施するプラン、政令市や各市商工会議所と共同で設ける「関西観光戦略会議」などを掲げています。

住民自治に立脚した自立した都市にする、そして大阪市の特性を活かしながら成長を目指すことこそが、人々の暮らしも地域の魅力も関西圏の発展も支えるというのが、私が考える大都市大阪の姿です。

以下資料などのリンクです。
*「大阪・関西の発展に向けて~大阪市経済成長戦略~」の資料はhttp://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000107398.html
にあります。

*関西経済連合会の報告書(「関西クリエイティブ・メガリージョン構想」2009.2)では都市圏のタイプを5つに分類しており、関西は「複数の都市がネットワークされた多核型都市圏」 である「EUタイプ」としています。