6月17日の記者会見で、「脱原発」を目指してあらゆる知恵を集めたいという思いから、20日に関西電力へ伺う際にもそのことを伝えたいと話しました。大震災後の福島原発を巡って、私が公式の場で原発について発言したのは初めてです。
この間、原子力や放射能にまったくの素人として、自分なりにマスメディアやネット上で展開されるさまざまな議論を読んだり、映像で見たりしてきました。そんな中で原発擁護派と反対派との激論の数々もチェックできる範囲で目を通したつもりです。
記者会見でも福島原発事故に対して何度か「余りにも情報が錯綜していて分からない」と繰り返してきました。そんな中、関西電力からの15%節電要請が寄せられました。
大停電という事態を避けるためにあらゆることを検討するのは当然でしょうし、そのために大阪市としてできることは取り組みます。経済活動の停滞も極力避けながら、市民の皆様に協力を呼び掛けることも当然でしょう。
「効率的でクリーン」なエネルギーといわれた原子力発電であろうとも、今回のように震災後100日たとうとしている現在も確実な見通しがたっていない。さらにその危険性について指摘する声があったにもかかわらず、それが大きく取り上げられることなくむしろ「快適な」生活のためにわざと見ないようにしていたのではないかとも思える情報がネットを通じて伝えられる。
この大震災では、被災地の窮状をツイッターやユーチューブという新しいツールで知り、積極的な支援活動に結びつくという大きな変化もありました。原発についても同じだと感じます。全く知らなかった情報や過去の指摘なども知らされました。
推進派、反対派どちらを信じるのかという不毛な二者択一論ではなく、「国難」ともいわれる状況であるからこそ、命と暮らしを守る立場からは、何も知らされなかった時代に他者に流されてしまった記憶を共有し、的確な判断のもとに後世につなげていくには今何が必要なのか。
安全神話がもろくも崩れ去った今、我々にできることは日本の再生への力を信じることと、新生へ導くための結集を呼び掛けて、新たなエネルギー施策へと国を挙げて挑戦することではないかと思い、「脱原発」を目指しましょうよと会見した次第です。
なお、大阪市HPで会見の動画もアップされています。http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu210/mayor/の動画を見るのボタンでご覧下さい。前半の部分と、15分過ぎからの質疑は殆どがこの件でした。